日本には、実に奇妙な「1%の壁」がたくさん存在している。例えば「女性取締役」の1%の壁。国内上場企業3608社の取締役41973人のうち女性は515人で、比率は1.2%と、かろうじて1%を超えた(内閣府調べ)。
だが実態は「社外取締役」の女性比率が特に高いため、生え抜きの女性取締役の割合は1%に達していないようだ。世の中の取締役のうち女性が100人中1人にも満たない--これは異常な状況ではないだろうか。
カルロス・ゴーン氏は200年、日産の取締役に就任し、取締役会が全員日本人男性だったことに驚き、社内のダイバーシティ改革に乗り出したという。
「障がい者雇用」が全体に占める割合も、1%を遥かに下回る。障害者手帳の保持者は全人口の6%なのに実雇用が少ないのは、企業の障がい者雇用が軽度に偏っていることが原因だ。
自然エネルギー(大規模水力発電は除く)が全発電量に占める割合は、2012年の全量買取り制度発足で、ようやく4%程度に伸びてきたが、以前は「1%の壁」をなかなか越えられなかった。
改めて注目したいのが、オーガニック(有機農業)の1%の壁だ。弊誌オルタナでは8年前の創刊5号で「オーガニック1%の壁」を特集したが、残念ながら今も状況はさほど変わらず、1%の壁を越えられていない。
2005年当時、全耕地面積に占める有機農業の作付面積比率(IFOAM調べ)は0.16%だった。同じ統計で2011年の日本は0.24%。「親環境農業」を推進する韓国(1.04%)はもとより、中国(0.36%)にすら後れを取っている。
ちなみに世界で最高水準はオーストリアの19.66%、スウェーデンの15.4%と、日本農業界にとっては想像の域を遥かに上回る。
このような状況を打破しようと、4月24~25日の二日間、「とことんオーガニックシンポジウム2015」が開かれた。