CSRというと、一部の大企業では実践されているものの、中小企業では取り組みが進んでいないことが指摘されています。中小企業にとっては、CSRという概念自体が抽象的なため、「どこから手をつけていったら良いのか分からない」というのが実態ではないでしょうか。栃木県日光市で実施されている、地元中小企業によるCSRへの取り組み「スマイル日光プロジェクト」では、CSRに馴染みの無い企業、特に地方で活躍する中小企業にとっての入り口として、本業(売上)にも直結する寄付つき商品の販売を実践してきました。(NPOマーケティング研究所代表=長浜洋二)
かれこれ1年以上にわたり、栃木県日光市で、地元企業によるCSRプロジェクトに関わってきました。このプロジェクトは、日光市、日光市社会福祉協議会、日光商工会議所の3者による日光CSR推進連絡会が、日光市の地元企業を中心としたCSR・社会貢献活動への取り組みを促進することを目的に立ち上げられました。
もともとこうした動きが出てきた背景には、日光市の地元企業の中から、事業を行っている地域に愛されなければ意味がないという思いが湧き起こってきたことがあります。商品を購入していただくお客様に対し、また将来、社員になってくれるかもしれない地域の人たちに対し、共に地域の課題に取り組み、地域に愛される存在になることは不可欠だということです。
日光のCSRの定義として、以下の5つを定めています。
(1)企業のファンを増やすこと
(2)地域において企業が存在する(在る)ことが大切(意義)
(3)地域(日光)の一員として地域とのつながりがあること
(4)企業の役割として地域課題の解決に目を向けること
(5)コストではなく戦略的な投資であること
つまり、CSRに積極的に取り組むことにより、企業の価値が上がり、人(従業員)が育ち、同時に、地域の一員である企業が発展することで、日光市(地域)全体が良くなるという循環を構築することが狙いとなっています。
私は、講師/アドバイザーとしてプロジェクトに参画。2013年12月に、「CSRコトハジメ」というテーマで第1回目の研修を行い、CSRについての基礎概要をお話しました。年明けの2014年3月には、具体的なCSR推進の方向性を決めるためにディスカッション形式の研修を行いました。