編集長インタビュー: 鎌仲ひとみ氏(映画「ミツバチの羽音と地球の回転」監督)

■映画のタイトルはこうして決まった

鎌仲: 「ミツバチの羽音と地球の回転」ができました。

森: 映画のタイトルはどのようにして決めたのですか。

鎌仲: よく言われるのです。タイトルがよく分からないとか、ミツバチが出てこないとか。

森: 一カ所、出てきましたよね。

鎌仲: よく覚えてますね。実は直接的なタイトルではないタイトルを付けたかった。象徴的というか、テーマというか、コンセプトを表すような、想像を掻き立てるような。

森: なるほど。タイトルからは「ミツバチのささやき」(スペイン、1973)を思い出したんですけど、関係ないですよね。

鎌仲: いやあの映画は大好きなんですけど(笑)。

森: では、関係あるのですか?。

鎌仲: ミツバチは私にとっては持続可能性の象徴なのです。

森: なるほど。

鎌仲: あるスウェーデン人が「一人ひとりが持続可能な存在になっていくことでしか、世界は持続可能にならない」と言ったのです。私たちがミツバチのようになる、という意味が込められています。地球の回転とは、エネルギーそのもの。地球が存在したその時から地球自体が持っているエネルギーというのがあって、地球がくるくる回りながら太陽の周りを回ることによって生み出されるエネルギーを象徴しているのです。

森: なるほど。

鎌仲: 太陽の周りを回って、太陽エネルギーを受け、そして風が吹いて、波を起こして、地球自体が持っている地熱とか、潮流とか、あと間に月が入ることによって、胎動も起きるでしょう。

■Renewable =再生可能 は誤訳だった?

森: 今「ミツバチの羽音と地球の回転」のタイトルについて説明して頂いたのですが、確かに地球の回転はエネルギーそのものですよね。ところで最近、Twitterでやり取りしていてある人から聞いて、ハッと思ったのです。Renewable Energyという英語があって、それを再生可能エネルギーと訳すのは誤訳である、と言ってる人がいるのですよ。

鎌仲: 知らなかった。

森: 知らないでしょ。僕もハッと思ったわけね。確かにその通りだったのですが。

鎌仲: リニューアブル――。

森: それは再生可能と訳されていましたが、実は違うのです。

鎌仲: どう訳すべきだったのですか。

森: 大意を言うと、再生可能というのは、使ったエネルギーが自然にまた復活して使えるようになる意味だから、ありえない話なのです。それで英語でRenewableという意味をその人が改めて大きな辞書で調べたのです。そしたら、その意味は「再生可能」ではなく、「とてつもなく大量にあって、ほぼ無尽蔵にあって、いくら使っても減らない」という感じだったそうです。

鎌仲: あ、そうですよね。

森: そういうニュアンスですね。

鎌仲: 私は使っても使ってもなくならないエネルギーという風に言っている。

森: その概念と再生可能という言葉は、実はやはり違う。使っても使ってもなくならないというのは再生可能ではないですよね。

鎌仲: 厳密にいうとね。うん。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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