ワクチン寄付の打ち切り問題で揺れるエコキャップ推進協会。エコキャップ運動の最大手団体だが、高い諸経費や、キャップの輸送時に使われる化石燃料による環境負荷など、問題点を指摘されてきた。その一方で、ごく少数の仲間でこつこつエコキャップ運動を続けてきた人がいる。(オルタナ編集長=森 摂)
横浜市に住む大久保健さん(66)は、三和銀行を早期退職した後の2005年、エコキャップ運動の団体「グループMATE(マテ)」を立ち上げた。MATE(マテ)の名前は、捨てるのを「待て」と、大久保さんの故郷・長野県茅野市の方言「まてにする」(大事にする)の意味を掛けた。
故郷長野県や熊本県の賛同してくれたボランティア活動グループとともに10年間で、エコキャップ約14百トンを企業や学校、有志グループから集め、累計で約1000万円をNPO法人世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)に寄付した。
エコキャップの収集は自家用のワゴン車一台。宅配便でエコキャップを送ってもらうより環境負荷は低い。連絡をもらえれば、東京や神奈川県を中心に収集に出かける。通常は45L入りゴミ袋に5袋が最低収集単位だが、都心であれば多少少なくても収集するという。
収集したエコキャップは、再生プラスチック業者などに売却し、その一部を寄付に充てる。いまの相場は1kg当たり20-25円だが、大久保さんのエコキャップはさらに計量、異物除去、フレコンパック詰めするため、1kg32円程度で売れるという。ここから寄付に充てる。大久保さんは、ほぼ毎日回収活動をしており「時給900円程度ならもらっても良いと思うが、なかなか残らない」と苦心している。
体制を整え、強化して活動を発展させるため、ソニーマーケティングを定年退職した大島浩司さん(61)らエコキャップ活動振りに共感してくれた10人の仲間と6月にも特定非営利活動法人の認証を申請する予定だ。
エコキャップ推進協会の騒動もあり、エコキャップ活動の信頼される担い手として続けていく意向だ。これからも環境を配慮したこの収集スタイルは基本的に変えたくないという。草の根のエコキャップ運動を組織化し、本当に善意を届けたい。そんな気持ちで次のステージに進む。