「JAZAイルカ問題は外圧ではない」、市民団体が指摘

イルカ保護を訴えるパンフレット。主催グループ所属の「エルザ自然保護の会」、「PEACE」が制作した
イルカ保護を訴えるパンフレット。主催グループ所属の「エルザ自然保護の会」、「PEACE」が制作した

市民グループ「海・イルカ・人」が、緊急報告会を開いた。JAZA(日本動物園水族館協会)がWAZA(世界動物園水族館協会)残留のためにイルカ追い込み漁からの調達を中止した際の報道をめぐる「誤解」解消が目的。捕鯨問題との混同や「外圧に屈した」とする解釈に異議を唱えた。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

海洋ほ乳類の保護活動をする団体や個人が2007年に結成した同グループは、娯楽優先の水族館のあり方を問題視している。シーシェパードなどの反捕鯨活動とは無関係だという。

事の発端はWAZAが2005年に出した「イルカ追い込み漁からのイルカ購入禁止」の通達。JAZAは通達を無視し続け、WAZAもそれを容認していた。

同グループは、繰り返し是正を訴え、海外団体の協力も得て活動を広げた。その結果、海外では対WAZA訴訟にまで発展し、今回の急展開につながったという。

登壇したPEACE(Put an End to Animal Cruelty and Exploitation/東京・豊島)の東さちこ代表は「太地町の追い込み漁の歴史はわずか45年(※)。イルカ食は文化かもしれないが、水族館ビジネスとのつながりは、文化でも伝統でもない」と述べた。

「エルザ自然保護の会」辺見栄事務局長は、「漁師を責める気はない。鯨類保護は国際的な流れなので、政府は水産業の保護ばかりを言わずに、しっかりしてほしい」と語った。

※東氏のコメントにある「太地町の追い込み漁」は「燃料で走る船を使い金属管を叩く音で追い込むイルカの追い込み漁」を指している。太地町では、1969 年に設立された「太地町立くじらの博物館」に展示するため、イルカ類の生け捕り捕獲を行う追い込み漁が始まった。(オルタナ編集部・2015年6月24日)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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