【オルタナ41号】「多様性なき企業に明日は無い」カルビー松本晃会長兼CEOインタビュー

カルビー松本晃会長兼CEO。1947年、京都生まれ。ジョンソン・エンド・ジョンソン社長を経て現職。
カルビー松本晃会長兼CEO。1947年、京都生まれ。ジョンソン・エンド・ジョンソン社長を経て現職。

「なでしこ銘柄」に2年連続で選ばれたカルビー。ジョンソン・エンド・ジョンソン社長から転進し、同社を率いる松本晃・会長兼CEOは、「ダイバーシティ(多様性)なき企業に明日は無い」と言い切る。その理由は「やらなければ会社が滅びる」と、見事なまでに明快だった。(聞き手:森 摂=オルタナ編集長、吉田広子=オルタナ副編集長、写真=高橋 慎一)

─松本さんはジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人で進めたダイバーシティ経営をカルビーに持ち込んだ際、「ダイバーシティが無ければカルビーの未来は無い」とぶちあげたそうですね。

女性活用は、本当は障がい者雇用より難しいのですよ。

─女性活用がですか。

当たり前です。ダイバーシティ経営は抵抗勢力との闘いなのです。

障がい者と言う表現は嫌い。障がい者といっても、身体のわずか一部に障がいがあるだけ。根本的なところに何の障がいもありません。世の中には、外からは見えなくても、根本的なところに障がいがある人がいっぱいいます。

─抵抗勢力とは男性社員ということですね。

男性というよりも、日本人の男性であり、年長者です。彼らの限られたポジションを奪いかねないから、当然、抵抗勢力が出てきます。本当に女性活用が進むか、進まないか、これからの10年くらいが勝負です。ただし、はっきりしていることは、やらなかったら会社がダメになるということ。簡単なことです。

─「ダイバーシティ経営をやらなかったら会社がダメになる、やれば良くなる」という仕組みを分からない人に教えるには、どうすれば良いでしょうか。

最も分かりやすい例は、読売ジャイアンツでしょう。V9時代のジャイアンツは純血主義で、外国人選手を入れなかった。当時は日本人だけで勝っていた。ところが今はそうはいきません。

米国のメジャーリーガーにはいろんな人がいる。日本人だって入れる。韓国人も中国人もメキシコ人もプレーできる。そういう時代なのです。それに反対する人はすればいい。うまくいかないだけ。

大相撲もおそらくあと1年以内に横綱4人が全部モンゴル人になるだろう。30年前だったら日本人に相当抵抗があっただろうが、今はありません。時代はどんどん変わっているのです。

今は限られた資源を奪い合う時代だから、変わらざるを得ない。勝とうと思えば、ダイバーシティは当たり前。嫌いでいたって構わない。企業が滅びていくだけのことです。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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