日本弁護士連合会による人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム(JFBS)事務局長)

2015年2月24日、早稲田大学にて人権デュー・ディリジェンスをテーマとした研究会(JFBS第14回東日本部会)が開催され、日本弁護士連合会が公表した「人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス(手引)」に関する報告が齊藤誠弁護士および高橋大祐弁護士よりなされました。今号では、このガイダンスに関する本報告内容をご紹介します。

■「人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス(手引)」とは

本ガイダンスは、日本企業や弁護士が人権デュー・ディリジェンスをコンプライアンス実務に組み込んで実践するための手法を具体的に解説した手引書です。

近年、サプライチェーンを通じた人権侵害への加担の問題が顕在化し、人権配慮に欠ける企業については法令違反/レピュテーショナルリスクが急速に高まっていることから、人権デュー・ディリジェンスは新しい企業法務の分野として国際的にも重要性が増しています。

2011年に採択された国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、指導原則)は、国内法令の遵守義務の上位規範として企業の人権尊重責任を位置づけ、企業活動による人権への負の影響を評価した上でこれを軽減・対処することを求めています。人権侵害への対処を法令コンプライアンスの問題(Legal Compliance Issues)として扱うことを規定しているのです。

日本の企業法務においてデュー・ディリジェンスという用語は、主に企業買収の際に相手企業の価値・リスクなどを調査・評価する作業という意味で使われてきたため、人権デュー・ディリジェンスが「国際規格に基づく第三者認証手続き」と誤解されることがあります。

しかしデュー・ディリジェンスは本来、負の影響を回避・軽減するためにその立場に相当な注意を払う行為または努力を意味しており、人権デュー・ディリジェンスは「企業が人権侵害のリスクに関して相当な注意を払い、自社のリスクマネジメントシステムに組み入れ対処するプロセス」を意味します。

こうした指導原則の正確な理解と人権デュー・ディリジェンスの実践を目的として、弁護士・企業・NGO・国際機関など多様な関係者間の対話を経て、本ガイダンスは日弁連弁護士業務改革委員会の「企業の社会的責任(CSR)と内部統制に関するプロジェクトチーム」(以下、CSR PT)によって策定され、日本弁護士連合会における承認を経て2015年1月に公表されました(下記URLからダウンロード可能)。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2015/150107_2.html

■本ガイダンスのポイントと活用方法

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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