集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法案が15日昼、衆院特別委員会で自民党と公明党の賛成により採決された。夕方から国会前で安保法案の採決に抗議する市民のデモが行われ、大勢の人が詰めかけている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■抗議の市民、車道にあふれる
「安倍晋三から日本を守れ」「集団的自衛権はいらない」。国会前に市民の声が響く。人の波が続々と押し寄せ、歩道から車道に人があふれた。数万人以上が集まった2012年の脱原発デモを思わせる熱気だ。若者の参加者も多く、親子連れの姿もある。午後8時半を回っても、勢いは強まるばかりだ。
神奈川県から来た大学生の男性(21才)は「政治について話題にしづらい学内の雰囲気に違和感を覚えてデモに参加している」と話した。「安保法案を許さないという今の世論を次の国政選挙につなげることが必要。声を上げ続けるしかない。政治を話題にできるきっかけを自分からも作っていきたい」
都内で働く女性(40代)は毎週デモに参加。「次の選挙で落とすぞ、と国会議員に圧力をかけないと与党は安心する。社会が悪い方向に動けば、その責任は『どうせ変わらない』と諦めている市民にある」と語った。
野党党首も相次ぎ駆けつけた。民主党代表の岡田克也衆院議員は「国民の反対が強まる前に採決を急いだ。情けない採決だ」と与党を批判した。
安保法案は明日16日、衆院本会議での採決が見込まれている。学生主体の「SEALDs(シールズ)」、市民団体などが主催する抗議デモは明日、および明後日17日の夜にも行われる予定だ。
■環境NGO6団体が共同で反対声明
環境NGO6団体は15日、安保法案に反対する共同声明への賛同呼びかけを始めた。呼びかけているのはFoE Japan、ラムサール・ネットワーク日本、ピースボート、グリーンピース・ジャパン、環境市民、ジュゴン保護キャンペーンセンター。
声明案では安保法案について「日本が戦争に加担することを可能にするもの」「自然環境と生物多様性、そして人々の生活環境に対する最大の脅威だ」などと指摘している。27日まで賛同を募り、28日に発表する計画だ。