集団的自衛権の行使を容認する安保法案に反対するデモが30日午後、国会や首相官邸、霞ヶ関、日比谷周辺で行われた。午後2時のデモ開始から30分で国会正面には歩道はもとより、車道いっぱいに参加者が詰めかけた。主催者は参加者数を12万人と発表した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■イラクで活動の医療NPO「われわれも標的に」
「戦争反対」「憲法守れ」「集団的自衛権はいらない」「国民なめるな」。あちこちからコールがうねりのように上がる。学校の制服を着た若者から高齢者まで、様々な年代の市民が詰めかけ、移動もままならない。
「集団的自衛権の行使で、日本が米国の言いなりになるのは明らか。紛争地域でのNPO活動が危険にさらされる」。デモに駆けつけた、JIM-NET(ジムネット、NPO日本イラク医療支援ネットワーク)の佐藤真紀事務局長は話す。
日本で集団的自衛権の行使が可能となれば、主要に想定されるパートナーは米国だ。ところが米国はイラクで戦争犯罪を繰り返している。25日の参院安保特別委で、山本太郎議員はイラク戦争における米軍の市民虐殺について問いただした。ファルージャなどで一般市民が殺害された事実に対して安倍晋三首相は「コメントを差し控える」などと述べるにとどまった。
JIM-NETは、イラクでの戦争に使用された劣化ウラン弾の影響と見られる子供の病気を中心に医療支援を続ける。「活動は日本の外交政策の影響をもろに受ける。IS(イスラム国)の伸長は、米軍やイラク政府に不満を抱く市民が多くいるということ。日本が米国と武力行動すれば、われわれの活動も市民にとっては敵になる」。佐藤氏は法案成立に危機感を深めている。