自然エネルギーの導入を進めるドイツで今年8月、電力に占める自然エネルギーの比率が瞬間的にこれまでで最高の8割を超えた。「導入が増えれば電力供給が不安定になる」と批判される自然エネルギーだが、ドイツでは3割近い導入量を達成しながら、年間平均停電時間は2014年に過去最短を記録したという。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■気象条件に恵まれた週末に達成
シンクタンク「自然エネルギー財団」のレポートによれば、自然エネルギー電力の導入量が8割を超えたのは8月23日の13時。59.1GW(ギガワット)の総電力消費の内、49.7GW(84%)を自然エネルギーが占めた。
当日は日曜で電力消費が少なく、快適な気候で冷暖房機器がほとんど稼働していないことが有利に働いたとみられる。一方、この時の火力と原子力の発電量は26.3GWで、内17GWが周辺諸国への輸出に充てられたという。
ドイツでは、7月の週末にも自然エネルギーによる発電が国内電力需要量の78% に達したばかり。平日は火力と原子力が大きな割合を占めるが、レポートを執筆した財団の一柳絵美研究員は「現状でも自然条件などが揃えば、平日に電力消費の半分近くを自然エネルギーが供給することは珍しくない」と説明する。
また、2014年にはドイツの電力最終消費者1軒当たりの年間平均停電時間が過去最短の12分余りを記録。自然エネルギー電力が増えているにもかかわらず、06年の実績より4割も短縮している。
ドイツ連邦ネットワーク庁は14年の実績に関して、極端な天候事象が少なかったことを主な理由に挙げる。とはいえ、気候や電力需要などの条件次第では、電力の大部分を自然エネルギーで賄えるようになってきたのがドイツの現状と言える。