来春、奈良に障がい者支援施設として5階建ての木造ビルが建つ。全国的にも数少なく、関西では初めてだ。とくに福祉用途の木造ビルは例がないとされる。(森林ジャーナリスト=田中 淳夫)
正確には1階がRC構造で、その上に木造の4階分が建つ構造だ。木造で複層階のビルを建築するのは技術的には十分可能とされるが、建築基準法の関係で5階以上は難しいからである。
計画では2~4階に作業室や訓練室、休憩室などを設ける。障がい者や児童が出入りするところに木質をたっぷり使う予定だ。ちなみに屋上には庭園もつくられる。そこで使われる木材は、奈良県十津川村のスギのほか床にはヒノキやクリ材の予定だ。
このビルを建てるのは、社会福祉法人ぷろぼの。障がい者の就業支援や自立訓練事業、さらにグループホーム、教育事業など幅広く展開している奈良の福祉グループだ。
「現在は分散して事務所がありますが、拠点となるビルをつくりたいと思っていました。しかも木造だったら来訪者の心身に優しいだろう。さらに奈良県産材を使えば地元の林業にも貢献できる。そう考えて建設設計事務所に相談すると、CLT工法のビルを提案されました」(山内民興理事長)