変わり始めた日本の金融機関――投融資方針の社会性改善に向けて[土谷 和之]

いま、欧州を中心とした市民の間で、「社会課題を引き起こす資金の流れ」に注目が集まっています。背景にあるのは、人権侵害などにつながる事業に対して、実施企業だけでなく、そこへ投融資した金融機関の責任も問う考え方です。フェア・ファイナンス・ガイドでは、社会性の観点から、大手金融機関の投資方針の格付けを行っており、日本の金融機関でも投資方針を改善する動きが出てきました。11月6日には、金融の社会性について語り合う国際セミナーも東京都内で開催予定です。(環境NGO A SEED JAPAN共同代表=土谷和之)

「資金の流れ」に注目することで、金融機関が社会課題解決に導く「鍵」となることが期待されている
「資金の流れ」に注目することで、金融機関が社会課題解決に導く「鍵」となることが期待されている

「自分たちが銀行に預けたお金が、どのように使われているのか…」

給料やお小遣いを、いったんは銀行などに預金し、必要な分を引き出して使うことが当たり前になった日本社会。ただ、自分が銀行に預けたお金がどう使われているか、思いを馳せることは少ないのではないでしょうか。

銀行は私たちの預金を原資として、企業や事業に融資したり、また国債や地方債を購入したりして、運用しています。その運用益の一部が利息となって私たちに返ってくるわけです。しかし、その融資先に、たとえば途上国で人権侵害を起こしている事業や、多数の一般市民を殺傷するような兵器を製造している企業があったとしたら良い気分ではないですよね。

実は、そのような「社会問題を引き起こす資金の流れ」に対して、世界で注目が集まっています。

たとえば、クラスター爆弾への投融資の問題。クラスター爆弾は世界各地の紛争や戦争で使われ、被害を受ける方の98%は一般市民だと言われている「非人道的兵器」です。しかし、「2011年~2014年間の3年間だけで、日本のメガバンク3行からクラスター爆弾製造企業へ約900億円の投融資がなされている」という少しショッキングな調査結果があります。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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