金融機関の投融資方針を、環境や人権といった「社会性」で比較し格付けする日本初のウェブサイト「フェア・ファイナンス・ガイド日本版」が12月に開設1周年を迎える。これを記念するシンポジウムが6日、都内で開催された。10月に改定された最新の評価では、格付け点数の改善に向けて真摯に動く銀行も多い一方、社会性に配慮する投融資方針と実態との乖離も見られることなどが報告された。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「エシカルバンク」欧州が先行
「フェア・ファイナンス・ガイド」は2009年にオランダで始まり、現在は世界7か国に展開。日本では気候変動や人権問題などに取り組むNPO3団体が共同で運営している。日本版の評価対象は資産額上位を占める7大銀行グループ。評価基準は国際的に統一されており、環境や人権、労働、兵器産業など15テーマ、273項目にわたる。「国連ビジネスと人権に関する指導方針」などの国際基準も評価の参照とした。評価過程では実際に6つの銀行グループの担当者と会うなど、対話を重視しているのも特徴だ。
今回の評価で最も得点が高かったのはみずほ(23%)で、三井住友(22%)、三菱UFJ(21%)と続く。3グループとも、途上国で実施される開発プロジェクトへの融資に適用される環境・社会配慮基準「エクエータ―原則」を採択したことが点数の伸びにつながったという。りそなは7%に留まったが、人権方針を改定したことで昨年から改善した。