世界的なCSRの動向のなかで主流化してきた人権への取り組みだが、子どもの権利と企業の責任を明確につなげる枠組みとして、「子どもの権利とビジネス原則」(CRBP)が2012年3月に発表された。シリーズ「ビジネスと子どもの人権」では、「CRBPの10の原則」を分かりやすく説明していく。第6回は原則5を扱い、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「子どもの権利とビジネス」担当の森本美紀氏と、日本子ども学会の常任理事であり、子ども製品の安全推進の立場からISOガイド50のJIS化に関わる所真里子氏の対談をまとめた。
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森本: 『子どもの権利とビジネス原則』の原則5『製品とサービスの安全性を確保し、それらを通じて子どもの権利を推進するように努める』は、子どもが使用あるいは消費する製品やサービスの安全性を確保し、子どもの心身に負の影響を及ぼす製品・サービスを制限する必要性を示します。
その一方で、特定の製品・サービスが障害を持った子どもや外国籍の子どもなど、弱い立場における子どもへの差別につながらないか、また子どもたちの表現の自由や情報へのアクセスにも配慮しなければならなりません。
企業が配慮すべき点は、環境汚染、食品・飲料、製品の安全性だけでなく、暴力的な画像や映像から、近年問題視されているインターネット上における『ネットいじめ』や『ネット勧誘』と多岐に亘りますが、今回所さんには特に、製品とサービスの安全性に関わる事例やガイドラインについてお話を伺いたいのですが。
■日本の子どもの死因第1位は不慮の事故