来年度に向け、化学物質「ネオニコチノイド」に関する研究や啓発事業を助成する公募の受付が7日から始まった。民間基金アクト・ビヨンド・トラストが毎年実施。主として農薬に使用されるネオニコチノイドは近年、家庭用防虫剤などとしても普及が進む。ところが同物質は農業生産への悪影響や生物多様性を損なう危険性が指摘されている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
神経伝達物質を阻害するネオニコチノイドは、植物内に浸透し、かつ分解しにくい性質を持つ。同物質は少ない量で殺虫効果が持続するが、一方でミツバチなど花粉媒介生物の大量死との相関関係が強く疑われる。また、子どもの脳の発達に影響が及ぶことも懸念される。
助成は2012年から行われ、ネオニコチノイドの使用がもたらす影響について研究や啓発を行う団体と個人が対象。4つの部門で合計300万円を助成する。締切は来年1月29日。今年度はネオニコチノイドを使用しないコメの栽培普及、生態学者を対象とした啓発など5事業が採択された。