2020年に開催される東京オリンピックの会場として、審議中だった「新国立競技場」が、大成建設と建築家の隈研吾氏が提案するA案に決まった。隈氏は国産材を使用するなど「サステナブル」を意識した建築を手がける。「21世紀は木の世紀」と話す隈氏のインタビューをオルタナ42号(2015年9月発売)から紹介する。
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世界的な建築家である隈研吾さんは「21世紀は木の世紀になる」と考える。木材の技術開発は進み、耐火・耐久性能が上がった。隈さんは、「木材が最先端な材となった今、世界の建築家は、サステナブルな木造建築で競い合っている」と話す。
(聞き手・吉田 広子=オルタナ副編集長、池田 真隆=オルタナS副編集長)
――日本に流通している約7割の木材は外国産で、証明書はあっても、違法伐採された可能性が残る「グレーな木材」と言われています。国産材の利用は3割ほどですが、この割合を増やしていくためには、建築家やデザイナーの意識から変えていく必要があると思っています。
木材とコンクリートなどのハイテクノロジー素材は対比されて語られてきたが、今はその対比はなくなっている。技術開発によって木材は、欠点とされていた耐火性能も高まり、最先端な材となった。
世界中の建築家にとって、木材は誰もが関心を持たざるを得ないものとなり、木造建築の分野で競い合うようになりだした。
■「傷が分かる」が耐久性
――建築家が木材に関心を持ち出せば、21世紀は「木の世紀」になっていくということでしょうか。