武器輸出を原則的に禁じた「武器輸出三原則」が撤廃されて2年近くが経過する。潜水艦など武器・兵器の輸出に向けた動きも加速する中、日本企業の製品が紛争地等での武器使用を通じた人権侵害に加担する恐れはないのか。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■「国連GC」は対人地雷ほか禁止
武器輸出三原則に代わり国が制定した「防衛装備移転三原則」では、条件付きで武器輸出を認める。その条件とは、紛争当事国に輸出しないことや、目的外使用および第三国への移転に際しては日本の事前同意を求めることなどだ。現在、潜水艦の受注獲得に向けた交渉が豪州と行われているほか、救難飛行艇に関してもインドなどへの輸出を視野に動きが始まっているという。
武器の製造や使用は人権侵害のリスクと隣り合わせだ。国連は持続可能な経済活動を実現する取り組みとして「国連グローバル・コンパクト(GC)」を主導。GCが制定する「10原則」の中で「人権侵害に加担しない」と明記している。GCに賛同し署名する企業や団体は世界で1万2千、国内で200以上に上る。
署名に関してGCは公式見解で「対人地雷やクラスター爆弾の製造に関わる企業はGCが掲げる約束(コミットメント)を満たすことが出来ない」とする。例えば国連制裁の対象となる企業はGCに署名できない。
ただし、GCは武器生産一般を否定するわけではない。例えば署名する日本企業の中には銃砲弾の生産を手がけるものもある。また、核兵器はクラスター爆弾や対人地雷と違い禁止する国際条約がないため、GCでは核兵器に関わる企業の署名を全般的に禁止するには至っていないという。