持続可能な発展のためのビジネスや組織づくり

今回は、JFBS第5回年次大会「企業家精神とサステナブル・イノベーション」(2015/910~11、CSR Asiaおよびフンボルト大学国際CSRカンファレンスとの共催)より、プレナリーセッション 1「大企業における企業家精神とサステナブル・イノベーション」における報告・議論内容をご紹介いたします。本セッションでは、大企業による持続可能な発展のためのビジネスや組織づくりについて、具体的取り組みの報告と問題提起が行われました。

アラン・アイケン氏(ファーウェイ華為技術、中国)は、企業の無責任なビジネス活動がさまざまな社会的問題を引き起こしていることは確かだとした上で、サプライチェーンや経営プロセスへのCSRの組み込み、ステイクホルダーとの協働などを通じて、ビジネスが解決策にもなることを指摘しました。そして60億人にものぼる人々が情報にアクセスできない社会的不平等を是正しようとするファーウエイ社の取り組みについて報告がなされました。

持続可能な社会と環境がなければサステナブルなビジネスはできないとの考え方のもと、同社は利益追求だけでなく社会と環境を重視しています。

持続可能なサプライチェーンを達成するためにサプライヤーの様々な職責レベルの人材とともに会議や研究会を開催しているほか、顧客も参加する形でサプライヤーに対する監査や指導を行っています。顧客・NGO・業界団体・研究者・行政などステイクホルダーとの協働も進めています。

サステナビリティレポートの発行を通じて、透明性の確保にも努めています。こうした活動が評価され、国連グローバルコンパクトより地域の優良事例として選出されたり、環境NGOよりグリーンサプライチェーンとして表彰されたりするようになりました。

しかし、同じことの繰り返しでは不十分であり、パラダイム変化を起こしていかなればならないと同氏は言います。同社ではデジタルデバイドの問題に巨大なビジネスチャンスを見出し、さまざまなステイクホルダーが参加するプラットフォームをつくり、情報共有し、学びあい、リードしていくことを目指しているということです。

また各従業員が、持続可能な発展のために循環経済の原則を守り自社内およびサプライチェーン内における立場を活用してより良い製品をつくり、経営プロセスを改善していくことを目指しているということです。パラダイム変換を起こすためにまだまだやるべきこと、やれることは沢山ある、と同氏は強調しました。

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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