ベルギー、オランダ、ドイツの三国国境周辺に位置する自治体の住民が、6月26日に脱原発デモを行った。これらの自治体は、ベルギーの原発停止を求めて共同で提訴しており、各国の政府も巻き込むのが狙いだ。デモでは「欧州全体の脱原発」と「エコロジカルで安全で経済的なエネルギー政策への転換」を訴えた。(ドイツ=川崎 陽子)
日曜日の昼下がり、ベルギーの原発から60㎞離れたドイツのアーヘン市に集まった住民は、4000人を数えた。まず、主催者である三国の環境政党議員や脱原発市民連合代表が挨拶。ベルギー原発の訴訟には既に多くの州や自治体が加わっていること、ドイツとベネルクスから80人の自治体首長が、ベルギー政府に抗議をしたことなど、近況を報告した。
「遮へい防護は不可能、原発を停めるしかない」というスローガンの黄色い傘は、50か所以上の店舗で5ユーロ(約600円)で販売され、デモの当日までに5000本以上が売り切れた。
傘の行列は、車道を埋め尽くして行進しながら、欧州全体の脱原発を求めて、欧州広場を人間の鎖で囲んだ。
公共テレビの「こどもニュース(全国版)」の告知を見て参加を決めたというユリアさん(12歳)は、「事故が起きたら手遅れだから、大勢の人が知って事故を防ぐためにもデモは重要」と語った。
数人の参加者から、地元の学校ではドイツで7年生、ベルギーで8年生が、国語の授業で原発事故小説を読む(関連記事)ことを聞いた。若者を多く見かけた理由の一つかもしれない。