逗子市は6日、熊本市、名古屋市に次いで国内3番目のフェアトレードタウンに認定された。フェアトレードタウンは行政や企業、市民など地域が一体となり、フェアトレード商品を購入、使用することで貧困問題などを理解し、解決につなげる取り組みだ。フェアトレードタウンを促進する運動は2000年に英で誕生し、現在、全世界の認定都市数は1829に上る。(オルタナ編集部=小松 遥香)
認定のきっかけは、2011年の同市と市民の協働事業「逗子まちなかアカデミー」の一環で開催したフェアトレードのイベントだ。同イベントで講演をしたフェアトレード研究の第一人者・長坂寿久教授の「逗子をフェアトレードタウンに」という一言で、フェアトレードについて学ぶ少人数の勉強会が始まった。
「海外の事例などを約1年間学び、認定に向けて本格的に動こうと決めました」と認定に尽力した市民団体「逗子フェアトレードタウンの会」事務局長の磯野昌子さんは振り返る。
国内のフェアトレードタウン認定機関は、一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(所在地:東京都新宿区)。認定を受けるには、「地域社会へのフェアトレードの浸透」や「自治体によるフェアトレードの支持と普及」など6つの基準を満たさなければならない。
2011年に始まった活動が大きく動いたのは、今年4月15日の同市のフェアトレードタウン宣言からだ。昨年より「世界とつながり、平和に貢献するまちづくり」を掲げる同市は、フェアトレードを通して世界に貢献することを発表した。
今後は、市役所内でのフェアトレード商品の使用や販売、学生を対象にしたフェアトレードについての教育プログラムや商品開発を実施する予定だ。自治体と市民が協力してフェアトレードタウンづくりを進める。
ネパールやインドで国際協力の経験を踏んできた磯野さんは、「援助では変えられない貧困の構造があります。フェアトレードは持続的な支援であり、日々使うものをフェアトレード商品にすることで世界の問題を身近に考えられます。フェアトレードは途上国の現実を理解するための有効な手段です」と話した。