高校生が東北3県の名産品販売、アルビオンが後押し

化粧品メーカー・アルビオンが、東日本大震災の復興支援の一環として2014年から取り組む、高校生が選ぶ地域の特産品を、高校生自身が東京で販売するプログラム、称して「東北ふるさと市場プログラム」。参加した高校生が「ふるさと」を更に好きになり、これまでの体験を外部に発信する機会を作ること、そして社内外を問わず、一人でも多くの東北サポーターを増やすことを目的として開催されている。2回目となった今回は、7月29日、東京銀座のアルビオン本社と、東京駅からほど近い丸の内地下の行幸通り(青空市場)で、岩手、福島、宮城の3県5校の高校生15人がふるさとの自慢の商品を販売した。(一般社団法人RCF=荒井美穂子)

■地元NPOとの協働体制

目標達成に向けて気合いを入れる高校生たち
目標達成に向けて気合いを入れる高校生たち

アルビオン主催のこのプログラムでは、岩手県のやませデザイン会議、宮城県のかぎかっこPROJECT、福島県のBridge for Fukushimaが現地側のコーディネーターとして、参加する高校生の募集や学校側との調整を行った。

プログラムを提供するアルビオンと生徒を参加させる高校との間に地元NPOが入ることで、地域のニーズの把握など、企業側だけでは難しい部分についてのサポートが得られ、限られた準備時間の中でも、プログラムの効果と相互の満足度を高めることが可能となる。

例えば、アルビオン社員がチームで各県を訪れ、マーケティングの基礎を講義した際も、会場の手配や高校生との事前準備、講義の後の復習と仕入れ作業などを地元NPOがコーディネートすることで、当日の高校生とアルビオン社員のコミュニケーションがスムーズになり、講義の「受けっぱなし」ではない「実践力」が培われた。

■「プロ」の社員がサポート 
高校生が主体となりながらも、アルビオン社員とともに作り上げるのがこのプロジェクトの大きな特徴。例えば、商品選びではマーケティングの担当が、接客では美容部員の現役トレーナーが、陳列では売り場作りの担当がサポートしている。アルビオン社員にとっては、普段の業務スキルを用い社会に貢献することで、自分たちの仕事を見直し、誇りを持って、経験を本業に活かす機会にもなっている。

販売当日の約3週間前、7月9日の事前講座に先立ち、まずは高校生自身が、地域で昔からある馴染みのモノ、買いやすい形状を考え、自分たちの目線で地元の商品を選択。これまで販売の経験がない高校生にとって、選んだ商品が、東京で実際に手にとってもらえるのか、「自信」はこの段階ではまだ生まれていない。

事前講座当日の7月9日、アルビオン社員からマーケティングの基礎を学びながら、最初は漠然としていた「商品の良さ」「商品に興味を持って頂く背景」などを分析し、高校生なりの「言葉(キャッチコピー)」にしていく。これらをアルビオン社員に向けてプレゼンテーションし、ビジネスパーソンの視点で、商品の魅力を伝えるためのアドバイスをもらう。

学校で気心が知れた仲間や先生にプレゼンテーションするのではなく、「購入者」になる大人にプレゼンテーションする経験は、このあと、全く知らない人に「販売」する手始めとなる。自分たちが作ったキャッチコピーが、プロの力でさらに魅力的に変わっていく過程で、高校生の表情も緊張から笑顔へと変わっていた。

販売日の前日の7月28日、各校の高校生が東京に集結。事前学習してきた内容を元に、一気に販売までの準備や演習を進める。販売用POPの作成、接客、商品陳列、会計処理。実際の場面を想定し、高校生と一緒に手や体を動かすアルビオン社員の姿は、年齢や立場にこだわらず、同じチームの一員として、プログラムの成功を手助けしているように見えた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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