2020年の東京五輪で授与される金銀銅メダルを、携帯電話やパソコンなど使用済み小型家電に含まれるレアメタルで作ろうと、愛知県大府市と至学館大学などが「ゴールドラッシュ2020プロジェクト」を立ち上げた。
吉田沙保里さんや登坂絵莉さんら数多くの金メダリストを輩出している至学館大学(大府市)が発起人になった。市役所や廃棄物回収業者のリネットジャパン(同市、黒田武志社長)らと共同で構想を組み、10月21日に地元で記者会見した。
使用済み家電からレアメタルを改修する仕組みは「都市鉱山」と呼ばれ、「サステナブル(持続可能)な五輪」を標ぼうする日本としても象徴的な取り組みになりそうだ。
一大会で授与される金銀銅メダルを製作するためには、金9.6キロ、銀1210キロ、銅710キロが必要とされる。9.6キロの金を確保するためには、携帯電話32万台、パソコン5万台が必要だという。
「ゴールドラッシュ2020プロジェクト」は、具体的には自治体による小型家電リサイクルのイベントや、住民への普及、啓発、署名活動などの都市鉱山メダル運動を展開する。このほか、アスリートたちや学校などとも連携して浸透を図る。
大府市の岡村秀人市長は記者会見で「多くの市民に『皆で金メダルをつくろう』と呼び掛けていきたい。『もったいない』を世界共通言語にしたい」と話した。さらには「小型家電リサイクルの普及のための起爆剤としていきたい。大府市民だけではなく日本全体の国民運動に広げていきたい」と力を込めた。
リネットジャパンの黒田社長も「日本でリサイクル運動が進んだのは『もったいない精神』のお陰。市民が主体的に参加する仕組みになれば、間違いなく日本が世界に誇れるものになる」と期待を寄せた。
吉田沙保里さんは、実際にリサイクルで作ったメダルを手にして「もしかしたら自分の知ってる人のケータイが入ってるかもしれないと考えるとうれしいです。皆の応援が詰まったメダルになるので、より一層頑張れる気持ちになります」と話した。