ニート・フリーターだけではなく障がい者、引きこもりも積極的に採用すると宣言した経営者がいる。アイエスエフネットグループ(東京・港)の渡邉幸義代表だ。その狙いと効果を聞いた。

――アイエスエフネットでは「5大採用」という言葉を掲げていますね。いつごろからですか。
「5大採用」とはニート・フリーター、障がい者、場所・時間に制約のある方、シニア、引きこもり)を指します。10年前、この会社を立ち上げた時に宣言しました。
当初はニート・フリーターから始め、これまでに採用したうちの30%は「5大採用」です。ただ、引きこもりだけはなかなか手間取り、今年2月にやっと2名を採用できました。
――どうして「5大採用」を始めようと思ったのですか。
元々ITサポートの会社として設立したのですが、新しい技術なので「未経験者を育てるしかない」という状況だったわけです。
「未経験者」となると、別の技術を持った人間に新しい技術を教えるのかにするのか、全く知らない人間を採るのか、2つの選択肢しかありません。
僕は「全く新しい人間を採りたい」と思ったわけです。その究極が、「5大採用」だったわけです。
――ニート・フリーターを選ぶ基準は何でしょう。
目です。僕は履歴書は見ない主義です。あと、話している言葉です。僕は哲学を掲げて会社を作ったので、この哲学について真剣に語るわけです。一人1時間。そうして語って、相手の反応を見るわけです。
――今社員が1660人ぐらいですが、このうち、5大採用といわれる人たちはどのくらいいますか。
450人ぐらいです。精神障がい者の社員は、今15人くらいいます。
――そういう人たちはどのような仕事をされているのですか。
いろいろやっていますね。総務業務であるとか、普通の仕事をしていますよ。
――ハローワークで障がい者を採ろうとしても、なかなか集まらないと聞きます。なぜでしょうか。
まず、偏見やいじめの問題があります。ハローワークに登録はしても、実際に面接に来ることは少ないです。
また、親が企業を嫌がっていることが多い。障がい者の方は、過去会社でいじめられた経験を持つ人が多いので、1人いじめられるとその周りの母親たちが、噂で「会社っていじめられるんだ」と思ってしまうことが多いようです。
でも、企業の名前がある程度通ってしまえば、お母さんのところに話に言って、何十回も行けば、来ますよ。