東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(東京2020組織委員会)の紙とパーム油に関する調達基準案が作成され、3月30日まで、一般からの意見募集を行っています。(川上 豊幸=レインフォレスト・アクション・ネットワーク日本代表)
公表された「持続可能性に配慮した紙の調達基準(案)」では、持続可能性を達成するための基準として、合法性、中長期的な計画、環境保全、社会的配慮に関する基準が設定され、国際的な認証制度であるFSC(Forest Stewardship Council 、森林協議会)とPEFC森林認証プログラム(SGEC緑の循環認証会議 含む)の両方が基準を満たす制度として認められています。
しかしPEFCについては、利用している全ての原料について基準を満たすとはいえず、課題が多い状況です。さらに認証材であっても、インドネシアでは管理地に土地紛争と泥炭地上の植林地を多数抱えているAPP社(Asian Pulp & Paper)やAPRIL社(Asia Pacific Resources International Holdings Ltd)もPEFC認証を得ているため、認証材として購入可能となってしまいます。
今回の調達基準案では、古紙パルプ以外のパルプ(バージンパルプ)を使用する場合、以下の5つを基準としています。
1:伐採・採取に当たって、原木等の生産された国又は地域における森林その他の採取地に関する法令等に照らして手続きが適切になされたものであること
2:中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林その他の採取地に由来すること
3:伐採・採取に当たって、生態系が保全され、また、泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域が適切に保全されていること
4:伐採・採取に当たって、先住民族や地域住民の権利が尊重されていること
5:伐採・採取に従事する労働者の労働安全・衛生対策が適切にとられていること
認証紙に利用できる「非認証材」に求められる一定の基準