環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(以下RAN)は4月9日、米国や日本、欧州の36の民間銀行について、環境負荷が極めて高い「エクストリーム化石燃料」への融資方針を格付けした報告書を発表した。同燃料への2017年の融資額は前年比110億ドル増の1150億ドル。同団体は、「事業計画をパリ協定に合致させている銀行はない」と厳しく指摘した。(オルタナS編集長=池田 真隆)
同報告書は、「化石燃料ファイナンス成績表2018」。10―11日に東京で開かれる「RI(責任投資)アジア2018」を前に、日本語訳を発表した。
日本語訳された要約版は、日本の投資家、銀行、規制機関に向けてコンパクトにまとめられたもので、報告書の調査結果に加え、36銀行のエクストリーム化石燃料への融資等額と方針への格付をまとめた。
エクストリーム化石燃料への過去3年間の融資・引受額は、日本のメガバンクでは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が最も多く世界11位で、次にみずほフィナンシャルグループ(17位)、三井住友フィナンシャルグループ(以下SMFG、23位)と続いた。
格付ではMUFGが最も低い「F: 不可」グレード(方針を公表していない銀行)で、みずほとSMFGは下から2番目の「D-」グレード(デューデリジェンス(相当の注意による適正評価)を実施している)に評価された。
RANの 「責任ある金融」シニアキャンペーナーのハナ・ハイネケン氏は、「気候リスクへの対応が世界中で加速する中、日本のメガバンク3行は気候変動を最も悪化させている化石燃料や森林破壊関連部門へ多額の融資・引受を行い、逆方向に向かっている」と主張。
銀行は融資等の方針をパリ協定に合致させるよう説明責任を果たし、気候リスクが最も高い化石燃料への全ての資金提供を停止する責任がある。3行の筆頭株主である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)にも責任はある」と訴えた。
RAN日本代表部は、10日と11日に東京証券取引所で開催される「RIアジア2018」で、日本の投資家、銀行、規制機関に、パリ協定に従った事業計画の実現と自然エネルギーへの転換を推進する役割を果たすよう働きかけていく。