EU(欧州連合)は4月27日、ネオニコチノイド系農薬3種の屋外使用禁止を決めた。2013年12月から一部の使用を制限していたが、今回の禁止で、ネオニコ系農薬3種が使えるのは温室内だけになる。欧州食品安全機関(EFSA)が2月末に出した「ミツバチに非常に有害」との結論に基づいた。製造元の独バイエルとスイスのシンジェンタは2013年の使用制限の取り消しを求めてEU司法裁判所に提訴しており、今回の決定にも反発している。(パリ=羽生のり子)
今回、屋外使用を禁止されたのは、バイエルのイミダクロプリド、バイエルと住友化学のクロチアニジン、シンジェンタのチアメトキサムだ。ネオニコ系農薬は「神経毒性」「浸透性」「残留性」の特徴を持ち、ミツバチが大量死する蜂群崩壊症候群(CCD)の要因とされている。
欧州連合理事会の決議では、支持国が加盟国の55%以上かつその人口がEU人口の65%以上とする特定多数決方式で可決になる。
2017年12月に投票が行われる予定だったが、EFSAの新たな評価が出た後に決めたいと言う加盟国があり、延期された。今回の投票ではヨーロッパ人口の76.1%を占める国々が賛成した。それまで禁止に反対だったイギリスが11月に賛成を表明したことが、立場未定の国々に影響した。
フランス、ドイツ、イギリス、スペインを含む15カ国が賛成し、デンマーク、ハンガリー、チェコ、ルーマニアの4カ国が反対。ポーランドなど8カ国が棄権した。
バイエルとシンジェンタが起こした訴訟は5月17日に判決が出ることになっていた。投票結果が出た4月27日、バイエルは「間違った選択」、シンジェンタは「失望した」とのコメントをホームページで発表。住友化学は5月11日に「クロチアニジンがミツバチの大量死、大量失跡の主たる原因ではないとする自社の見解に何ら影響を与えるものではない」との見解を出した。