オルタナ53号(2018年6月29日発売)

今号の表紙
伊勢谷 友介(いせや・ゆうすけ)
俳優、映画監督、カクトエンタテインメント所属・株式会社リバースプロジェクト代表。1976年、東京都生まれ。東京藝術大学美術学部修士課程修了。大学在学中、ニューヨーク大学映画コースに短期留学し、映画制作を学ぶ。(撮影:三浦 安間)

【誌面ではスペシャルインタビュー「SDGsを共通の指標に」を掲載】

feature story
世界企業/NGOのパワーバランス
We Mean Businessとは?

世界では今、企業とNGO(非政府組織)が大同団結して「サステナブル(持続可能)な経済社会」を目指す新たな「うねり」が起きている。企業とNGOが対立していた20世紀型の関係から脱皮し、脱炭素や地球環境、人権などの問題において独自の基準を作り、影響力を広げる。その旗手が「ウィ・ミーン・ビジネス(We Mean Business)」同盟だ。

[コラム]
NGOの存在感顕著
企業は俯瞰視点を
藤井 敏彦・多摩大学大学院客員教授

「対話なき開発」に限界
サステナビリティ(持続可能性)のトップランナー企業はNGO/NPOとの対話を進め、社会的課題の解決に正面から向き合い始めた。一方で、旧態依然とした対立構造から抜け出せない事例もある。_

[アニマルウェルフェア]
経営課題に「動物」
潮流は日本にも

欧米ではアニマルウェルフェア(以下AW)に対応することが、企業にとっては重要な経営課題の一つだ。230兆円を運用する機関投資家が動物福祉に関する宣言に署名し、畜産のあり方を問題提起する投資家のイニシアチブも生まれた。この流れは日本にも波及するだろう。_

[米国]
「NPOコラボ2.0」加速

米国のNGOやNPOは、政府からの支援が減少しつつある一方で、企業とNPOが「コラボレーションする時代」を迎えた。パートナーとしてお互いWin-Winの関係を築ける活動を促しているのだ。スタンフォード大学が発行する、「ソーシャルイノベーションレビュー」に寄稿したNPOのマーケティング専門家ピーター・パネペント氏は、こうしたNPOの活動を「NPOコラボレーション2.0」と呼んでいる。

[フランス]
「アメ」と「ムチ」で
企業の方向転換促す

フランスのNGOは、倫理に反する活動や安全を脅かす活動をする企業を告発するキャンペーンを張ることが多い。方法は「アメとムチ」。SNSやメディアで企業を叩き、反響に驚いた企業が折れてきたら企業の方向転換を支援する。ところが政府が準備している法律で、NGOと企業の告発・協力関係に暗雲が漂い始めた。

[中国]
環境NGOが急成長
多国籍企業動かす

平坦でない中国のNGO活動の中で、環境NGOのIPEは一貫して環境情報の公開を促進。末端の工場にも「相手にされない」NGOからフォーチュン500企業も頼る存在に成長した。そのカギは賢いターゲット設定に加え、圧力と「協力的アプローチ」、ITの駆使や巧みなデータ活用・広報戦略などにありそうだ。

[ダイベストメント]
ダイベストメントで
競争力が問われる

化石燃料関連事業や企業からの投融資撤退(ダイベストメント)が世界的に拡大している。総額6兆ドルと試算される動きは、パリやニューヨークなど大都市をはじめ世界の有名大学でも起きている。国内でも4月以降、日本生命が新規の石炭火力発電所建設のための投融資停止を検討中と明かすなど動きはあるが、まだ足踏み状態だ。

alterna person
筒井 隆司(WWFジャパン事務局長)
NGOとの連携は企業の生存競争

NGOと企業のグローバル規模での連携が急速に進んでいる。その背景について、世界自然保護基金(WWF)ジャパン(東京・港)の筒井隆司事務局長は「企業がNGOと組み、社会的課題に率先して取り組むことで、より持続的な存在になるため」と、企業が生き残りをかけて取り組んでいると分析する。ソニーで33年間、主に海外営業畑を歩み、自身も電機業界でさまざまな政策渉外活動や対外交渉を経験した筒井事務局長は今、NGOの立場で新たなパートナーシップを模索する。

2 Social Design Gallery

パキスタンの無法地帯、トライバルエリア

8 art

高橋さとみの切り絵ワールド──地球に住んでいるから

9 column

オルタナ魂  森  摂

NGOと切磋琢磨(せっさたくま)できる土壌を

social business around the world

10    [欧州編/イギリス]コーヒーかすが家庭用燃料に

11    [アジア・オセアニア編/パキスタン]トランスジェンダー、パキスタン初の専用校

12    [アジア編/日本]京都の過疎地、インバウンドで脚光

【訂正】記事中で「人口は4千人足らず。森林に住む8千頭の鹿の半分しか人が住んでいない」とあるのは、正しくは「人口は約5千人。森林に住む鹿の数は8千頭にも上る」でした。お詫びして訂正致します

14 feature story

columns

37 オルタナティブの風  田坂 広志

人工知能革命と人間力

39 エゴからエコへ  田口 ランディ

「セブ島語学留学事情」

agriculture

40    農業トピックス  西村 ユタカ

41    日本農業 「常識」と「非常識」の間  徳江 倫明

「土」と「種」から離れる農業

forestry

42    林業トピックス  編集部

43    「森を守れ」が森を殺す  田中 淳夫

針広混交林の長短を考える

fishery

44    漁業トピックス  瀬戸内 千代

45    人と魚の明日のために  井田 徹治

乱獲のヒットエンドラン

fair trade

46    フェアトレードトピックス  中島 佳織

47    フェアトレードシフト  中島 佳織

チョコレートはこの先もなくならない?

fundraising

48    ファンドレイジングトピックス  三島 理恵

49    社会イノベーションとお金の新しい関係  鵜尾 雅隆

A-PAD、ノーベル平和賞へ

50    オルタナティブな空間  馬場 正尊

仙台の勾当台公園で社会実験

53    欧州CSR最前線  下田屋 毅

五輪をサーキュラー・ゲームに

54    CSRトピックス  CSR48

楽天、未来を変える買い物を提案 他

56    KIYOの哲学 考察編  南 清貴

亜麻仁油入りマヨネーズの危険性

57    エコでヘルシーな食空間  岡村 貴子

味噌の魅力を伝える専門レストラン

58    エシカル・ファッションの旗手たち  生駒 芳子

自然の恵みを宿した錬金術的ジュエリー

60    世界のエコホテル巡礼  せきねきょうこ

自然との共存と発想の転換

62    間違いだらけの自転車選び  山本 修二

作り手の想いが見える自転車を選ぶ

63    オルタナSELECT 編集部おすすめの逸品たち

これからは脱プラスチック

68    CSR executive forum CSR経営者フォーラム

CSR関東/CSR九州

72    読者の声&読者プレゼント

74    flash fiction 「こころざし」の譜  希代 準郎

三十一文字の遺書

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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