「ソーシャルインパクト」は小手先では測れない

ソーシャル・インパクト・シリーズ:パート1

社会的インパクト評価イニシアチブの年次会合である「Social Impact Day 2018」(1)が6月27日、東京で開かれた。今回のテーマは『社会的インパクト「評価」→「マネジメント」へのシフト』だったが、3年連続で300人収容の会場がほぼ埋まった。会合では「社会的インパクト・マネジメント・フレームワーク」(2)も公表された。(CSOネットワーク代表理事・今田 克司)

■ソーシャルインパクトの多様性とは

Social Impact Day 2018で基調講演中のジョン・ガルガーニ氏(撮影:社会的インパクト評価イニシアチブ共同事務局)

基調講演者のジョン・ガルガーニ氏(Gargani + Company代表/ 元全米評価学会会長)が強調したのは、ソーシャルインパクトの多様性だ。

社会課題の解決に、投資家や営利企業など、市場原理の「ものさし」で参入するアクターが増えている現状を捉え、一人一人で異なる社会的価値を共通の「ものさし」で測る難しさを、私たちがしっかり理解する必要性を力説した。

ガルガーニ氏は「ソーシャルインパクトの議論が進む英米でも、社会的価値の測定に関する議論は混沌としており、結果として安易に「ソーシャルインパクトの500グラムの缶詰を売り買いする」ようなことは避けるべき」と警鐘を鳴らした。

氏によると、社会的価値の測定や評価を正しく行うためには、これまでの市場原理のなかに「社会的」な価値を埋め込むような小手先の作業ではない、まったく新しいパラダイムが求められるという。

■社会的インパクトは、どう測るのか

ガルガーニ氏の基調講演の詳細は、筆者も含めた日本側の会議主催者(社会的インパクト評価イニシアチブ共同事務局)に事前に知らされていたわけではない。だが、基調講演を会場の最後列で眺めていた筆者(氏を呼んだ張本人でもあるが)は、胸のつかえが取れていく思いを持った。

会場で氏の話を聞いていた人々の頭からハテナマークがたくさん湯気のように上がっているのが見て取れた。いくつかの事前会合でも質問が出ていたが、多くの人は、「社会的インパクト評価って具体的にどうやるのか」「社会的インパクトは、どう測るのが正しいのか」に対する答えを求めていた。そしてそれに対する氏の答えは「ちょっと待ちなさい」だったのである。

■社会的インパクト・マネジメントとは

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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