ソーシャルイノベーションを「発展的評価」で促す

いま、ソーシャル・セクターで「発展的評価」(Developmental Evaluation、以下DE)が話題になっている。DEとは何か、いかに役立つのか、企業目線で紹介してみたい。(CSOネットワーク・千葉直紀)

■いま、「評価」に改めて注目する背景

企業の成績を測るときには、財務諸表という統一的な「ものさし」を用いる。つまり利益や売上高などで業績が判断され、ステークホルダーとのコミュニケーションがおこなわれる。

一方で、企業活動は自社の製品やサービスの生産・提供だけでは完結せず、例えばサプライチェーン上での環境への負荷を考慮したり、長期的に地域社会とどのように共生していくかなど、より包括的な視点が必要なのは周知の通りだ。

CSRの取り組みや社会貢献活動なども含めると財務諸表上には現れない要素が様々あり、非財務情報に含まれる課題や生み出すべき価値も含め、トリプル・ボトム・ラインの考え方が浸透しつつある。そして、それらを測るための「ものさし」として、様々な指標や測定方法が開発されつつある。

しかし、そこで話題になっているのは「いかに測るか」にとどまっており、そこから一歩進んで「それが何をもたらすのか」という「評価」の領域まで踏み込むことが大事である。

「評価」という言葉からは、マルバツや点数をつけられるという、一方的で受動的なイメージを持たれるかもしれないが、決してそうではない。語源をたどるとevaluate(評価する)は「ex+value:価値を引き出す」であり、評価対象の本質的な価値を引き出すため、積極的で現在進行形、双方向といった意味を含んでいる。

社会課題はますます多様化・複雑化している。企業にもESG投資やSDGs(持続可能な開発目標)に対する関心の高まりがあり、これを「“ものさし」の開発と結びつけようという流れも起こりつつある。

それぞれの企業が、自分たちの得意分野を社会課題解決に生かし、それを社会にアピールできる時代が到来したという意味では、一種のビジネスチャンスであることは間違いない。

では、企業はいかに社会課題解決の主体的な担い手として、ソーシャルイノベーションを起こしていくことができるのだろうか。その誘発剤としてご紹介したいのが、DEだ。

■ソーシャルイノベーションを生み出す「発展的評価」(DE)とは

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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