ヤフーは10月3日、水産資源や海洋環境の改善を目指し、海に特化したメディア「Gyoppy!(ギョッピー!)」を立ち上げた。公式サイトで随時、漁業や海ごみなどの話題を提供すると同時に、寄付やイベント参加など、海の課題解決につながる読者の行動を促す。プロデューサーは、東日本大震災を機に宮城県石巻市に移り、若手漁師たちと一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンを設立したヤフー社員の長谷川琢也氏が務める。(オルタナ編集委員/海洋ジャーナリスト=瀬戸内千代)
ヤフーは、長谷川氏の個人的なボランティア活動をきっかけに、2012年に石巻に拠点を設置。社員を常駐させ、「復興デパートメント(現・東北エールマーケット)」や「ツール・ド・東北」といった被災地支援を展開してきた。
引き続き、漁業・水産業が主要産業である石巻に役立ち、なおかつ、海に囲まれた日本全体の課題解決に貢献する取り組みとして、新媒体を企画。復興枠でない無期限の活動だという。
編集長は、ヤフーの久保直樹氏。地域系メディア会社「Huuuu(フー)」との共同編集によるオリジナル記事のほか、海関連のYahoo!ニュース記事を掲載する。また、「Rettyグルメニュース」「another life.」といった他社メディアからもコンテンツ提供を受ける。
環境問題に関しては、ユニークなビーチクリーン活動で海辺に人を呼び込んできたNPO法人「海さくら」がコンテンツを提供する。募金については、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」と組んだ。
さらに、読者を水産品の通販店や飲食店に誘うため、自社サイトだけでなく、「Oisix」など食品宅配サービスや一般社団法人「東の食の会」、スマホアプリ「ポケットマルシェ」、グルメサイト「Retty」と提携。送客対価は得ず、まずは問題提起と関心の広がりを重視するという。
一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンも、漁業の現場の声や新鮮な魚介類を消費地に伝える。石巻のワカメ漁師で同法人共同代表理事の阿部勝太氏は、「Gyoppy!でいろいろな人を巻き込んでいけたら、漁業はもっと面白い業界になるのでは」と期待を語った。