環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN、本部・米サンフランシスコ、日本代表部・東京都新宿区)は12日、韓国・インドネシアの複合企業コリンド・グループに関する二つの調査報告書を発表した。日本語版の報告書「守られなかった約束」は、2020年東京五輪の関連施設の建設に供給されたコリンド社の木材が、東京五輪の定めた持続可能性に適合せず、違法木材であった可能性が高いことを指摘している。(富永周也)
報告書はRANとWALHI(インドネシア環境フォーラム)、Tukインドネシア(トゥック)、プロフンドの3NGOが共同で発表した。
東京五輪の会場建設について調査した「守られなかった約束」では、コリンド社の合板工場が「違法かつ持続不可能な方法」で伐採した木材を調達し、同社工場から供給された合板がコンクリート型枠として東京五輪施設の建設に使われていたことを裏付ける証拠がまとめられている。
今年5月、コリンド・グループのバリクパパン・フォレスト・インダストリーズの工場で製造された合板が、東京五輪バレーボール会場となる有明アリーナで見つかり、この合板は住友林業によって供給されていたことが判明した。
コリンド社がインドネシア環境林業省に提出した申告書によると、同工場の2016年と2017年の製造原料となった木材の約4割が、森林の土地利用転換による木材で、中にはボルネオオランウータンの生息地からの木材も含まれていた。
ボルネオオランウータンは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「近絶滅種」に指定されている。RANは「五輪施設の建設に使われたコリンド社の合板には、北マルク州で違法伐採された木材が含まれている可能性もある」と指摘している。