国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP-FI)は11月26日、パリで「国連責任銀行原則(PRB)」のドラフト版を発表しました。世界を代表する28の銀行が参加しましたが、この場に邦銀の姿はありませんでした。「脱炭素」という世界的な潮流の中で、邦銀の動きが鈍いことが懸念されます。(国際環境NGO350.org 日本支部「350.org Japan」代表・古野 真)
PRBの目的はSDGsやパリ協定との整合性
PRBは、銀行業務を持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の定める社会的ゴールとの整合性を取るのが目的です。パリで11月26日から28日に開かれている第4 回「気候ファイナンスデー」とUNEP-FI の円卓会議の中でドラフト版が発表されました。
一連の会合では「未来の持続可能な銀行システムのフレームワーク」の原則を構築することを目標に、創設機関に米17 兆ドルの総資産を運用する28 の世界的銀行とUNEP-FI が関わっています。
28 行にはBNP パリバ(仏)、ICBC(中)、サンタンデール(スペイン)、バークレイズ(英)など世界的な大手銀行のほか、サステナビリティのリーダーであるING(オランダ)やノルデア銀行(フィンランド)とともに新興国を代表するイエスバンク(インド)やアクセス・バンク(ナイジェリア)も含まれます。
ただ、残念ながら、アジアの銀行を代表すべき日本の銀行は、国連責任銀行原則の創設機関として参加しませんでした。投資家の行動を変えた国連責任原則(PRI)の銀行版として、PRB は銀行業務の社会や環境への貢献を確保する未来の姿を描く画期的な指標になりつつあります。