東日本大震災後に岩手県釜石市の釜石地方森林組合が開設した「釜石大槌バークレイズ林業スクール」の4期目の全カリキュラムが終了し、12月1日に修了報告会が開かれた。釜石市内や岩手県内各地から集まった受講生が1年間で学んだ成果を発表した。
文・釜石リージョナルコーディネーター(釜援隊)手塚さや香
このスクールは、英国に本社を置く世界的金融機関バークレイズグループが津波で職員5名と事務所を失った同組合に、3400万円を支援し、2014年12月にスタートした。
釜石市と大槌町の民間所有者の山林を管理する同組合は震災後、組織のリーダーで、参事の高橋幸男さんのもと、山林を活用し地域の若い世代の働く場を創出しようと、積極的に採用活動を行った。2011~13年に20~30代の11名が加入したが、彼らをどう育成するかが課題となっていた。
他方、バークレイズグループは震災直後から社員が自発的にボランティアを開始し、釜石市と大槌町を中心に毎月何度も足を運び、がれき撤去などの作業を続けてきた。その動きが経営陣を動かし、全社一体の延べ数千人規模での活動となった。
2013年からは産業復興支援へと発展、地域の企業や団体のニーズをヒアリングした際に、森林組合で「若手職員を次世代の林業を担うリーダーとして育成するとともに、新たに林業を志す人を増やす機会をつくりたい」という高橋参事の思いを知り、支援先の一つとして選定した。