焼却処理は循環経済に逆行するか

論考・サーキュラーエコノミー(Vol.2)

最近、国の廃棄物・リサイクル関係の審議会に出ていると驚かされることがある。

それは、循環経済構築の議論が盛んになるなかで、従来の焼却処理や熱回収に対する忌避感が声高に表明されることである。廃棄物の発生回避は当然の選択肢として、リユースやリサイクルが焼却処理・熱回収よりも好まれるのはよく分かる。世界にも広まった3R(リデュース・リユース・リサイクル)に焼却処理や熱回収という言葉は入っていないし、EU発信の「廃棄物処理の優先順位」(ウェイスト・ヒエラルキー)でも焼却処理・熱回収の順位は低い。

しかし焼却処理・熱回収という方法は避けるべき選択肢なのか。廃棄物処理の方法として焼却処理・熱回収を避けるとしたら、排出された廃棄物を処理する他の方法はリユースかリサイクルということになる。

もちろんそれができればそれに越したことはない。しかし現実を見ると、その選択肢が取れない場合が多いことに気付かされる。無理にリユース・リサイクルするとエネルギーを余計使うことにもなりかねない。汚れが著しく分別が困難な廃プラスチックはその良い例だ。それでもリユース・リサイクルしたものが売れれば良いが、実際には、はけ口がないということが意外に多い。リサイクル残渣(ざんさ)処理に手を焼くこともままある。

1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども兼任する。2019年4月より現職。

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