2020年に向けて、様々なところでバリアフリーやユニバーサルデザインの考えに基づく環境が求められていますが、身近なところでも、障害の有無に関わらず全ての人が使いやすいように工夫された商品があります。普段目にしているが、何のために付いているのか分らない物もあるでしょう。今回はその一例を紹介します。(公益財団法人日本ケアフィット共育機構・サービス介助士インストラクター=冨樫正義)
例えば、シャンプーのボトルの側面を良くみるとギザギザ状のきざみがあります。これは何のためでしょう。これは視覚に障害のある人が、シャンプーとリンス・コンディショナーの区別ができるようにつけたものです。また、この仕組みを知っていれば、高齢で文字が読みにくい人でも区別がつきます。
牛乳パックの上部に切欠きが入っているものがありますが、ご覧になったことはありますか。この切欠きが入っているのが、成分無調整の牛乳です。やはり視覚に障害のある人が成分調整牛乳や加工乳等と区別するためです。開け口の反対側についているのも特徴です。
テレビのリモコンには青、赤、緑、黄のボタンの側に「青」「赤」「緑」「黄」と文字が書いてあります。色を文字で表す意味は何でしょうか。これは色覚障害により色で判断することが難しい人が、文字情報で判断するためです。
電動歯ブラシや温水洗浄便座は身体をより清潔にする商品・機能である他、手を動かすことが難しい人にとっても自立を支えるための大切な商品・機能でもあります。
次に街中では、多機能・多目的トイレ内にシャワーとシンクのセットがありますが、何に使用するのでしょうか。あのシャワーはオストメイトの人が使用するものです。オストメイトとは人口肛門・人口膀胱の保有者のことです。オストメイトは、排泄を自分でコントロールできないので、排泄物を受ける袋をお腹の外側につけています。
そして、外出先でその袋に溜まった排泄物の処理や交換、場合によっては身体や衣服の洗浄等ができるトイレが必要であり、オストメイト表示のあるトイレでは、その洗浄の機器があることを示しています。そのようなトイレが増えることで、必要としている人が安心して外出できるようになります。
最後に金融機関のATMについている受話器のようなものを見たことがあるでしょうか。ATMの使用について何かトラブルがあった際に銀行員と話す電話と思っている人もいるのではないでしょうか。
あれはハンドセットと言い、視覚に障害のある人がATMを使用できるように音声案内を聞き、ハンドセット内のボタン操作をし、出金や入金が出来る仕組みです。またタッチパネルでの操作が難しい人のためでもあります。
日常生活において、何に使用するのか不明な物や機能があれば、是非調べてみてください。
様々な人が利用しやすいように工夫されたものかも知れません。このような商品が増える、理解が広まることが誰もが生活しやすい社会の構築に繋がります。
サービス介助士とは、主にサービス現場で障害のある人や高齢な人などが、何かお手伝いが必要な際に、さっとお手伝いができるように、基本的な介助技術を学んだ人で誰でも取得することが出来ます。
■サービス介助士資格認定・運営団体
公益財団法人日本ケアフィット共育機構