ニュージーランドは4月15日、世界を震撼させた銃乱射事件から1カ月を迎える。クライストチャーチにある2つのモスクで礼拝を行っていたイスラム教徒が銃撃を受け、死者50人、負傷者48人が出た。容疑者はオーストラリア人の白人至上主義者だ。NZは多民族が調和を保って肩を並べて暮らす、安全で平和な国というイメージを維持してきた。しかし同事件をきっかけに、過去を振り返ってのこのイメージの再検証が始まった。(ニュープリマス=クローディアー真理)
国内では銃撃事件後、ジャシンダ・アーダーン首相がコメントの中で使った、ある言葉が注目を集めている。「ディス・イズ・ナット・アス(これは私たちではない)」。「事件は私たちニュージーランド人を表わすものではない」という意味だ。これに同意する人がいる一方で、実際は「ディス・イズ・アス(これは私たちである)」だという意見がずいぶん聞かれる。
今回の事件の元凶とされる白人至上主義は、すでに植民地時代から始まっていたではないかというのだ。歴史家のマーク・ダービー氏はラジオNZの取材に対し、「英国の植民事業自体が、白人による世界征服が目的だった」と説明している。
■英国植民地化と共に国内に入り込んだ白人優先主義
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