ネオニコチノイド系薬剤は農作物に広く使用されている。土壌への浸透や残留性が高く生態系や人体への影響が懸念されるため、欧州では使用禁止にするなど規制を強化しているが、日本では国が規制を緩和するなど逆行している状況だ。14日、ネオニコチノイドに関するセミナーで6団体が調査・研究結果を発表した。京都市を対象にした調査では、殺虫剤などの製品にネオニコチノイドの記載がなく成分に含まれていることを知らない人が8割以上いたことが分かった。(松島 香織)
■脳への影響も懸念
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストが都内で開催したセミナーで、助成を受けた6団体が生態系や人体に与える農薬の影響について報告した。
総合地球環境学研究所のマキシミリアン・スピーゲルバーグさんは、ネオニコチノイドを含む家庭用製品を扱っている京都市内のドラッグストアなどを調査し、京都市民1000人にオンラインアンケートを実施した。
ネオニコチノイドはペット用のノミ取り剤やシロアリ駆除剤にも含まれており、店舗では61種類が販売されていた。
製品には、ネオニコチノイド系薬剤を使用している記載や薬剤が人体に触れる危険性についての記載がほとんどなかったという。さらに、複数の薬剤を混合しより強い薬剤が使用されている一方、「殺虫剤」ではなく「虫ケア」という言い方をするなど、イメージをマイルド化している傾向があることが分かった。
市民アンケートでは、8割以上がこうした製品にネオニコチノイド系薬剤を使用していることを「知らない」と答えた。だが、欧米での規制を紹介すると78%以上が「日本でも成分の使用を再検討すべき」と答える結果が出た。
消費者には意識の啓発、商品には注意書きや警告マークの明記が必要だと、スピーゲルバーグさんは締め括った。
■脳への影響も懸念