書籍名:『選ばれ続ける会社とは――サステナビリティ時代の企業ブランディング』
出版社:産業編集センター(2019年4月)
筆者:細田 悦弘(中央大学大学院戦略経営研究科フェロー)
評者:森 摂(オルタナ編集長)
筆者の細田氏はキヤノンマーケティングジャパンで営業、マーケティング部門、宣伝部を経てCSR推進部長を務められ、理論だけでなく実践にも長けた方だ。CSR研究のアプローチは法律学、企業倫理、コンプライアンス、経営学、経済学などを入り口にされる方も多いなか、マーケティングやブランディングと連携する細田氏の主張には独自の切り口がある。
実は筆者も「未来に選ばれる会社――CSRから始まるソーシャルブランディング」(学芸出版社、2015年10月)でCSRとブランディングの重要性を説いた。日本のマーケティング関係者の間では「ソーシャル」と言えばSNSを想像する人が多い中で、私たちは残念ながら、まだ少数派なのかもしれない。
本書の真髄は、第6章「社員の心に灯を灯す! インターナルブランディング」にある。つまり「社員の意識改革」だ。売上高や利益など、財務目標が最優先されがちな日本企業において、社会との関係性を重視する非財務的なアプローチは置き去りにされがちだ。財務と非財務は、右脳と左脳のように、同時に考える発想が求められている。
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