リクシルはこのほど、開発途上国向けに普及を進める簡易式トイレ「SATO」事業が、バングラデシュで初の黒字化を達成したと発表した。SATOは、シンプルなデザインで設置が容易、かつ低価格な簡易式トイレだ。ビジネスを通じ世界の衛生環境の改善に取り組んでいる。採算性が課題の一つとなっていたが、同国での黒字化を実現したことで、社会的事業として持続可能であることが示されたかたちだ。(オルタナ編集部=堀理雄)
世界では、人口のおよそ3分の1にあたる約23億人が、安全で衛生なトイレを使えていないと言われている。屋外や汲み取り式トイレでの排泄など、衛生環境の改善が重要な社会課題の一つとなっている。
リクシルは2012年、農村部や都市周辺部の生活者に向けて、より快適で低コストの簡易式トイレ「SATO」の初代製品を開発。これまでに、インド、バングラデシュ、フィリピン、ウガンダなど25カ国以上の国で、250万台以上が出荷されている。
バングラデシュは、2013年にSATOが最初に進出した国だ。なぜ黒字化が実現したのか、同社広報部によればそのカギの一つは「NGOとのパートナーシップ」だという。
貧困対策や農業開発、教育、保健、投資など幅広い活動を展開するグローバルNGOであるBRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)をはじめとしたパートナーと協働し、まず衛生的なトイレの必要性を同国の人びとに広く伝えることで、SATOの需要を高めていくことに力を入れた。