低迷続き回復危うい日本の漁業資源

オルタナ56号 連載「人と魚の明日のために」から

日本沿岸の漁業資源に関する水産庁の2018年度の現状評価がまとまった。84の漁業資源のうち、ほぼ半数の41が「低位」であるのに対し、「高位」は14種にとどまる。低位資源の数は前年度から2つ増えており、日本の漁業資源が置かれた状況は厳しい。

資源評価はマイワシやスケトウダラなど、日本の漁業に重要な50魚種・84系群の資源のレベルと傾向を評価した。資源の水準は、過去20年以上にわたる資源量や漁獲量などの推移から「高位・中位・低位」に区分。過去5年間の資源量や漁獲量などの推移から、資源の動向を「増加・横ばい・減少」の3段階で評価する。

今回、「低位」とされたのは北海道のホッケ3系群すべて、日本海北部のスケトウダラ、伊勢・三河湾のマアナゴやイカナゴ、トラフグなど41系群に上り、日本人になじみの深い魚介類が目立つ。オホーツク海南部のスケトウダラ、同海のズワイガニ、瀬戸内海のサワラ、伊勢・三河湾のシャコが、前年度の「中位」から「低位」に転落。ホッケやスケトウダラ、キチジ、宗谷海峡のイカナゴ類など、北海道の漁業資源の悪化が目立ち、漁獲量も近年大きく減少していた。

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井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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