社会的インパクト投資「1パーセント」の可能性

オルタナ本誌 連載「社会イノベーションとお金の新しい関係」(57号)から

「世界のトップ富裕層の1%が世界の富の82%を所有している」これは2018年に国際協力NGOオックスファムが発表した数字である。(鵜尾 雅隆)

フォーブスの長者番付の上位42人の資産を合計すると、下位の37億人の資産を合計した金額と同じになる。この富の再配分を行う仕組みが税制ということになるが、タックスヘイブンの問題もあり、これがうまく機能しなくなっているのが今の世界である。

ここでは、逆にポジティブな変化を生むかもしれない「1%」についても考えてみる。今、社会的インパクト投資(経済的リターンと社会的リターンの両方を評価する投資)の推進をするグローバルなネットワークのGSGでは、世界の投資残高の1%が社会的インパクト投資になる社会を実現するためのムーブメントを起こそうとしている。

この1%というのは、世界の投資残高が約9千兆円であるので、世界では90兆円、日本では約6兆円ということになる。世界規模では、ESG投資(環境、社会、ガバナンスに配慮した投資)が既に2500兆円を超えており、全投資額の30%にもなってきていることを考えると、将来的に決して不可能な目標ではないかもしれない。

インパクト投資推進の中心であるGSG会長のロナルド・コーエン卿は「1%のインパクト投資が生まれている状況は、多くのビジネスがインパクト志向になっている社会である」として、企業のビジネスをパラダイム転換するカギのひとつのマイルストーンとして1%のターゲットを設けている。

 

※この続きは、オルタナ57号(全国書店で発売中)掲載の連載「社会イノベーションとお金の新しい関係」をご覧ください。

 

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鵜尾 雅隆(日本ファンドレイジング協会代表理事)

連載:社会イノベーションとお金の新しい関係 日本ファンドレイジング協会代表理事。国際協力機構、外務省、米国NPOを経て、ファンドレイジング戦略コンサルティング会社ファンドレックス創業。寄付、社会的投資の進む社会を目指して日本ファンドレイジング協会を創設。著書に『ファンドレイジングが社会を変える』など。

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キーワード: #ESG投資

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