花王はこのほど、2030年に向けた同社のCO2削減目標が、温暖化防止に向けた企業の目標を科学的に評価するSBT(Science Based Targets)イニシアチブに認定されたと発表した。認定企業は5日時点で世界575企業、日本国内では78企業だ。同社は4月に策定したESG(環境・社会・ガバナンス)戦略「キレイライフスタイルプラン」のなかで、2030年に向けて2017年に比べCO2を22%削減する目標を掲げており、この「脱炭素」目標がSBTに認定された。(オルタナ編集部=堀理雄)
SBTイニシアチブは、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満にするパリ協定の基準に、科学的に整合しているかを認定するもの。同協定では2度を大幅に下回り、1.5度未満を追求する目標を求めている。
イニシアチブでは温室効果ガスの排出に関して、事業者自らの直接排出(スコープ1)、供給された電気や熱使用に伴う間接排出(スコープ2)、それ以外の事業者活動に関連する排出(スコープ3)と区分し、サプライチェーン(供給網)を通じた削減目標を求めている。
花王は、製品の調達から製造、使用、廃棄まで含めたライフサイクルを通じたCO2の削減を進めてきた。キレイライフスタイルプランによれば、「開発・生産・販売」段階でのCO2排出は全体の9%であるのに対して、「原材料調達」段階は38%、「使用」段階は39%と算出している。
CO2排出の8割を占める「調達」と「使用」はともに「スコープ3」に該当し、サプライチェーン全体で排出削減に取り組む重要性が分かる。