国際航空運送協会(IATA)はこのほど開いた年次総会で、「カーボンオフセットと削減スキーム(CORSIA)」の実施を各国政府に求めることで合意した。CORSIAでは国際線の航空機によるCO2排出量を2020年以降も同年のレベルに保つことなどを目標として掲げた。総会ではさらに、航空会社に可能な限りの燃費対策を実施し、再生可能な「バイオジェット燃料」への長期的な転換に向けての努力を要請した。(NZニュープリマス=クローディアー真理)
国際航空運送協会(IATA)はこのほど開いた年次総会で、「カーボンオフセットと削減スキーム(CORSIA)」の実施を各国政府に求めることで合意した。CORSIAでは国際線の航空機によるCO2排出量を2020年以降も同年のレベルに保つことなどを目標として掲げた。総会ではさらに、航空会社に可能な限りの燃費対策を実施し、再生可能な「バイオジェット燃料」への長期的な転換に向けての努力を要請した。
IATAが掲げる3つの目標と4つのストラテジー
近年、ジェット燃料を大量に使う航空業界は厳しい批判にさらされている。欧州環境機関によれば、航空機での移動によるCO2排出量は1人1キロメートル当たり285グラムで、158グラムの車や14グラムの鉄道と比較しても非常に多い。航空機を使っての旅行者は向こう20年の間に現在の2倍、2037年には82億人になると予測されている。
現在IATAが問題解決を目指し、掲げる目標は3つだ。総会で明言した、2050年までにCO2排出量を2005年の半分まで削減することのほか、2009年から2020年までの間、世界平均年1.5%の燃費効率の改善を実現すること、2020年から航空機のCO2排出量に上限を設けることが挙げられる。
これら目標を達成するためには4つのストラテジーを策定している。「CO2排出量が少なくて済むサステナブルな燃料の導入を含む技術革新」「より効率的な航空機運航、航空交通管制システムの改善を含むインフラの整備」「CORSIAの運用」だ。IATAには現在293社の航空会社が加盟し、世界の定期運航の82%を占める。目標達成には加盟航空会社の協力が不可欠だ。