東京五輪の開催まで1年となる24日、環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(本部:米国、以下RAN)は、木材調達基準の問題を改めて告発する声明を発表した。RANは昨年11月、新国立競技場などの建設で調達基準に違反した木材が使われているとして、インドネシアで伐採事業を行うコリンド・グループと住友林業を含む供給事業者を東京都、東京2020組織委員会などへ通報。その後当局からは十分な説明が行われていないという。(オルタナ編集部=堀理雄)
■農地のため熱帯林を皆伐した「転換材」を供給
問題とされている木材は、コンクリートを固める際に使用する「型枠材」と呼ばれる合板材だ。組織委員会によれば、新国立競技場、有明アリーナの建設では、インドネシア産の型枠材が昨年11月末までに少なくとも12万枚以上使用されている。
2018年5月、有明アリーナの建設現場でインドネシアのコリンド社製の合板型枠材が使われていることが、NGOの調査で明らかになった。合板には、住友林業が輸入したことが分かる刻印が押されていた。
昨年11月にRANなどNGO4団体が発表した調査報告書によれば、コリンド社が2016年~2017年に製造した合板の原料のうち約4割は、アブラヤシ農園などに向けた更地をつくるために森林を皆伐した「転換材」で供給されていた(同社が政府に提出した申告書から判明)。
森林を皆伐し農地や産業用植林地などへ転換することは、地球温暖化に影響を与える森林破壊の主要因の一つとして考えられてきた。例えば森林管理協議会(FSC)は1994年の設立当初から、自然林から転換された地域の人工林を認証の対象とせず、森林転換を抑制する基準を導入するなど問題視してきた。
また同報告書ではコリンド・グループ傘下の企業によって、事業拡大に伴う皆伐のほか、土地開墾のための違法な火入れや地域住民の許可を得ない土地収奪などの人権侵害行為が行われていることが指摘されている。熱帯林の皆伐地域には、オランウータンの生息地も含まれていた。
東京2020組織委員会は、建設に使用されたコリンド社製の木材量など詳細な情報を開示していない。しかし同社がインドネシア内での数少ない型枠材供給企業であることを考えると、多くの割合の合板が同社から供給された可能性が高いと報告書は指摘している。
■「合法」な森林減少どう止めるか
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