南太平洋のバヌアツ政府はこのほど、「使い捨ておむつ」を年末までに使用禁止とする計画を発表した。おむつと有機性廃棄物が、国内で出るごみの総重量の4分の3を占めることが明らかになったためだ。昨年の使い捨てレジ袋や容器、ストローに続き、おむつなどプラスチック製品6品目の販売が禁止になる。バヌアツは南太平洋の周辺諸国とも連携し、使い捨てプラ製品の禁止拡大を進めていく考えだ。(NZニュープリマス=クローディアー真理)

バヌアツ政府により今回禁止されるプラスチック製品は、おむつを筆頭に、野菜・果物用容器とネット袋、食器・ナイフ・フォーク・スプーン類、カップ、マドラーとなっている。英国の環境・食糧・農村地域省(Defra)下の環境水産・養殖科学センター(Cefas)がバヌアツで昨年行った、プラごみの調査結果をもとにしての決定だ。
この取り組みの中でも、特におむつについては賛否両論が入り乱れている。豪のABCニュースによれば、ソーシャルメディアを通じ、「時代の最先端をいく取り組み」と賛辞を寄せる人がいる一方で、反対の声も多く上がっているという。国内に約2万人を数える乳幼児の親や女性団体は布おむつを、「母親の負担を増やす、時代遅れの習慣」と声高に反対している。
布製おむつは、コストが高いことや、島国のため入手や離島部まで浸透させることが難しく、導入可能なのか疑問視する人もいる。

また使い捨ておむつ禁止が施行された場合、海外から訪れる旅行者数に影響する可能性もある。旅行者もそれに準じなくてはならないからだ。2017年、観光業がGDPに占める割合は約46%に上った。政府は同年11万人だったビジターを2030年までに45万人にまで増やしたいとしている。しかし世界で年間使用される数は4,500億個ということからも明らかなように、紙おむつは多くの人にとって日常的な消費財だ。旅行のためにわざわざ布おむつを購入し、休暇にもかかわらず宿泊施設で、自国でもしないおむつの洗濯・乾燥をする手間を考えると、バヌアツへの旅行を敬遠する家族連れが出てもおかしくない。

それでも政府側にとってはプラごみ削減が最優先のようだ。「選択の余地はない」と実践できることを主張し、綿製布おむつなど、バヌアツの気候にふさわしい代替品の模索を続けている。海洋ごみに詳しい、Cefasのトーマス・メイス博士も、環境に優しく、再利用可能で手頃な価格の代替品が必ず見つかると太鼓判を押す。
昨年設立の、英連邦諸国の海洋プラごみ削減を目的とした活動グループ、コモンウェルス・クリーン・オーシャンズ・アライアンス(CCOA)は、バヌアツ政府が英国と並んで主導している。バヌアツは今後も同分野で、CCOA参加の20カ国や周辺諸国のお手本として、リーダーシップを発揮していくことになる。