SDGs(持続可能な開発目標)の進捗状況を確認しあう国連「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が今年7月、米ニューヨークで10日間にわたって開催された。150以上の関連イベントのうち、世界的な人気ゲームのキャラクター「アングリーバード」を起用したキャンペーンが注目を集めた。国連が気候変動対策として促進しているオンラインツール「ActNow Bot (アクトナウボット)」を広めるのが目的だ。(寺町幸枝)
国連とソニー・ピクチャーズが連携
国連のグローバル・コミュニケーション局(DGC)が、国連とソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントとタッグを組み、国連が進める「ActNow(アクトナウ)」という環境キャンペーンを推進するために登場させたのが、アングリーバードだ。
アングリーバードは、日本のほか欧州や米国、中東や中国で大ヒットしたモバイルゲームのキャラクターだ。主人公は色とりどりで、表情豊かな鳥たちと、その敵である豚たち。シリーズを含めた累計ダウンロード数は、2015年の時点で25億以上とも言われている。
一方、国連が推進するグローバルな気候変動対策の呼びかけである「ActNow」は、公式サイトの説明によると、気候変動に対する認識を高め、対策を強化するとともに、パリ協定の履行を推進するために欠かせない要素の一つとされている。
主に、個人の「消費パターン」を調整することで、行動変化を促すことを目標としているため、キャンペーンを通じて提案されているのは、食事の仕方や、車の乗る頻度を減らすといった、身近なテーマばかりだ。
一連のキャンペーンは、「人々が行動を起こせば起こすほど、そのインパクトも高まる」という前提で運営されており、今回アングリーバードというキャラクターと手を組むことで、ゲームや映画を楽しむ幅広い層への認知を促すのが国連の思惑だ。
アングリーバードは、2016年の1作目の公開時に「#AngryBirdsHappyPlanet」という気候変動への早急な対策の必要性を訴えたキャンペーンに協力した。
国連のアンバサダーに就任した主人公の鳥レッドは、20カ国以上のイベントに登壇し、エコスマートなライフスタイルを提案し、環境対策を訴え、キャンペーンは広く成功したと認知されている。その功績を踏まえ、国連は今回アングリーバードを新たなキャンペーンで再起用したと思われる。