2019年6月、小学生が放課後を過ごす「アフタースクール」を運営する放課後NPOアフタースクールが設立10周年を迎えた。先日開催した10周年記念フォーラムでは「新・放課後子ども総合プラン」勉強会と同団体が運営するアフタースクールへの視察会を実施。当日は約100人の学童保育事業者や行政担当者が全国から集い、これからの教育や放課後の価値を考える機会となった。(青木陽子)
同フォーラムでは、西川由香氏(文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課 地域学校協働活動推進前室長)が、新・放課後子ども総合プランや来年度から変わる新学習指導要領の概要、その目指すところについて講演を行った。
■一体化が進む放課後児童クラブと放課後子供教室
放課後児童クラブと放課後子供教室。放課後児童クラブは通称「学童保育」と呼ばれ、厚生労働省が管轄する、主に共働き家庭の小学生に向けた生活と遊びの場だ。
一方で放課後子供教室とは全児童を対象にした放課後の子どもたちの居場所で、学校の校庭や教室を活用し、スポーツや文化活動ができるようにする取り組みだ。文部科学省が管轄している。
対象や活動内容に違いはあるものの、どちらも放課後の子どもたちが安心、安全に過ごすための居場所だ。この2つについて、同じ目線で小学生の放課後の在り方を考えることが必要であるという観点から作られたのが「放課後子ども総合プラン(平成26年度)」だ。
今年度の改訂で今後5年間の目標が記載された(「新・放課後子ども総合プラン」)。待機児童の解消を目指すとともに、放課後児童クラブと放課後子供教室の一体型運営を一万か所以上にすることを目標として設定している。
一体型運営とは、「放課後児童クラブにある面積基準や人員の配置基準を満たすよう、生活の場として占有スペースを確保した上で、児童クラブの子どもたちも放課後子供教室の様々なプログラムに参加することができる」というもの。児童クラブの子も子供教室の子も制約なく、一緒に放課後を過ごすことが可能になるという。
■放課後の問題は学校だけが抱えるものなのか