「水素閣僚会議2019」が9月25日、都内で開催され、各国政府代表者らが水素社会実現に向けての国際連携の強化を図った。会議は、水素の利活用をグローバルな規模で推進し、関係各国が連携を図るプラットフォームで、昨年世界で初めて日本で開催され、今年は35を超える国・地域・機関の代表者が参加した。議長声明として、今後10年間で、世界で水素ステーション1万カ所(日本は2030年900カ所)、燃料電池システム1千万台(Ten,Ten,Ten)という目標を発表した。(オルタナ総研コンサルタント=室井 孝之)
昨年の会議の成果である「東京宣言」は、「コスト低減に向けた技術開発」「基準・規制の調和の必要性」「水素供給網の構築」「水素利用の経済効果やCO2削減効果の調査」「水素の認知度向上のための教育・広報」など、今後の方向性をまとめたものである。
会議では、「東京宣言」に関する各国・各機関の取組状況の共有、グローバルな水素の利活用に向けた政策の方向性について論議が深められた。
水素は、エネルギー供給構造を多様化させると共に、大幅な低炭素化を実現するポテンシャルを有するため、エネルギー転換・脱炭素化のキーテクノロジーとして、注目されている。
その一方、水素の需要拡大と供給コストの低減が大きな課題であり、水素の利活用を進めるため、今年3月に政府は「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を改訂し、水素燃料電池分野の関連予算を4.2億ドルから5.9億ドルに増額し、燃料電池システム、水素貯蔵システムのコスト低減を図っている。
議長声明として、菅原一秀経済産業大臣から各国の水素・燃料電池に関する行動指針である「グローバル・アクション・アジェンダ」が述べられた。
1. 今後10年間、世界で水素ステーション10,000か所(日本は2030年900か所)、燃料電池システム1,000万台(“Ten,Ten,Ten“)という運輸分野目標の共有
2. 海上輸送の国際的ルール整備を中心とした水素サプライチェーンの整備
3. 水素発電や産業利用などの技術の実証
4. IEA等による水素世界戦略策定、需要見通し調査
5. 水素利用の拡大に向けた教育・広報
菅原議長は、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、水素を世界に向けてPRする絶好の機会だ。あらゆる機会を捉え、最先端水素技術を発信して行く。本会議は、水素社会の実現に向けて各国が決意を新たにした有意義な会議だった」と締め括った。
[…] 【12】9月27日のオルタナ。「水素閣僚会議2019、「Ten,Ten,Ten」 を議長声明」( http://www.alterna.co.jp/28184 ) […]