ルフトハンザ航空とスカンジナビア航空の欧州航空2社はこのほど、バイオ燃料など「サステナブル航空燃料」(SAF)の使用を乗客が選べる新しい運賃体系を導入した。SAFは航空業界にとってCO2削減の切り札だが、価格は従来の航空燃料の約4倍だ。SAFと化石燃料の差額などを任意で乗客に負担してもらう。乗客にも地球温暖化対策で貢献してもらう狙いだ。(NZニュープリマス=クローディアー真理)
航空業界は、航空機からのCO2排出抑制に力を入れており、各航空会社とも消費者の環境意識の高まりを利用し、顧客向けのカーボン・オフセット・プログラムを導入している。これらは森林保護や植林、自然エネルギー開発などへの投資が主だ。ルフトハンザ航空とスカンジナビア航空は、SAFの購入・使用という新たな選択肢を設けた。
■化石燃料との差額をSAF代に
ルフトハンザ航空は顧客がSAF購入をスムーズに行えるようプラットフォーム、「コンペンセイド」を新たに開発した。コンペンセイドはSAFと化石燃料の差額を計算、提示する。希望する顧客は差額を支払う。同社はその収益でSAFを購入し、6カ月以内にほかのフライトで使用する。
コンペンセイドは、さらに自分の旅がどの程度環境に影響しているかを知るのに有用なツールともなる。当該フライトの飛行距離や飛行時間だけでなく、燃料消費量、排出されるCO2の量、使用機材の燃料消費効率も表示するからだ。
同社によれば、例えば国際線でフランクフルトからニューヨークまで飛んだ場合の航空運賃は最低580ユーロ(約6万8,000円)。任意負担金は約360ユーロ(約4万2,000円)で、運賃の62%を占める。国内線でフランクフルト―ハンブルグ間は99ユーロ(約1万2,000円)だ。そして負担金は約45ユーロ(約5.300円)、運賃の45%となっている。
SAFの価格は依然として高いため、顧客に差額を支払ってもらい、同社のSAF利用量を増加することで、需要の拡大、生産の活発化と共に値下げに近づこうという狙いだ。
コンペンセイドを通じて顧客はSAF購入以外にも、ニカラグアの植林プロジェクトに寄付することもできる。
■飛行時間でSAF代を設定