イオン、セブン&アイ・フードシステムズ、ワタミの3社は10月23日、食品ロスの削減を目指し、全国408の自治体が参加する「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」と共同宣言を出した。10月1日には「食品ロス削減の推進に関する法律」が施行され、取り組みへの機運が高まっている。同協議会の崎田裕子会長は、「全国規模の事業者と共同宣言を行うことで、社会全体に食品ロス削減を進め広げていく大きな流れを作っていきたい」と話した。(辻陽一郎)
共同宣言では、食べきり運動の普及啓発や、そのための情報発信などを連携して取り組んでいくことが明記された。協議会にはすべての都道府県を含む408の自治体が参加している。
農林水産省によると年間352万トンの事業系食品ロスが発生している。内訳をみると食品製造業が137万トン、外食産業が133トン、食品小売業が66トン、食品卸売業が16トンだ。
イオンは2025年までに食料廃棄物を半減することを目指す。すでに全国の自治体と協力し、店頭で食品ロス削減のキャンペーンを行っている。
イオン環境・社会貢献部の鈴木隆博部長は「関心の薄い世代にも食品ロス削減を理解してもらいたい。その一環として、京都市では吉本興業と連携して若い世代にも呼びかけている」と言う。神戸市では家庭で余っている食べ物を寄付する「フードドライブ」や、商品棚の手前にある商品などを積極的に選ぶ「てまえどり」などを呼びかけたりしている。
全国で外食チェーンを展開するワタミは、2018年に外食事業で2887.5トンの食品廃棄物があったという。そのうち、客の食べ残しが66%、調理残さが34%だった。
ワタミSDGs推進本部の百瀬則子本部長は「食べ残しの食品ロスをどうやって減らしていくのかは、お客様と一緒に取り組まなければいけない。私たちは食べ物を食べているのではなく、命をいただいて生きている。だからこそ、食べ物を大切にすることをお客様、従業に伝えていく」と語った。
ワタミは2030年までに外食事業で食品ロスを50%削減することを明言している。食べきれなかった食品の持ち帰りをすすめたり、食べ残しが増える宴会の予約客に食べきり運動を啓発したりするなど取り組みを進めている。
全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会では、全国の自治体が実施している食品ロス削減の施策をウェブサイトで公開している。これから取り組む際のヒントとしてもらうなど、事業者と各自治体が連携した活動の輪が広がることを目指す。